女性の育休取得率は平成19年以降80%を超えています(参考:厚生労働省)が、男性の取得率はどのくらいなのでしょうか。
今回は公務員男性の育休取得率にスポットを当てて、「公務員男性の育休取得率がいいのか」「国家公務員男性の育休取得率が高い理由」「地方公務員男性の育休取得率との比較」「公務員男性の育休手当」についてまとめています。
公務員男性でこれから育休取得予定のある方もぜひご参照ください。
- 男性国家公務員の育休状況
- 男性地方公務員の育休状況
- 男性公務員の育休は民間企業よりも取りやすいのか
- 男性公務員が育休を取得する方法
男性国家公務員の育休取得状況
男性国家公務員の育休取得状況についてまずご紹介します。
令和2年4月から6月までに子どもが生まれた国家公務員の男性職員2929人のうち、子どもの出生後1年以内に育休を取得した職員は2900人にのぼります。
男性国家公務員が育休取得平均日数は50日でした。
育休を取得した男性国家公務員のうち、1ヶ月以上の育休を取得した人は88.8%です。(参考:内閣官房内閣人事局)
男性全体の育休取得率は、平成8年では男性の育休取得率は0.12%、平成24年では1.89%、令和元年のデータでは、男性全体の育休取得率は7.48%と年々増加傾向にあります。(参考:厚生労働省)
男性国家公務員の育休取得率が高い理由とは
男性全体の取得率は10%未満と低いものの、国家公務員男性は99%取得と非常に高い数値がでてきることがわかりました。
なぜ国家公務員男性の育休取得率は高いのでしょうか。その理由をまとめます。
男性国家公務員の育休取得率が高い理由|育休取得を推進しているから
男性の国家公務員の育休所得率が高い理由は、政府として男性職員による育休の取得を促進しているからです。
政府として、子育てをしやすい環境づくりを重視し、そのためには男性の育休取得が必要であると考えています。
「国家公務員の男性職員による育児に伴う休暇・休業の取得促進に関する方針」を掲げ、そこに定める取り組みを国として実践しているのです。
参考:内閣官房
このように男性の育休は国が推進しているため、官公庁に勤める国家公務員である男性が積極的に取得することで社会のロールモデルとなっています。
男性国家公務員の育休取得率が高い理由|育休取得状況を公表しているから
内閣人事局では、国家公務員男性の育休取得状況を公表しています。
出典:内閣官房
政府が推進しているにも関わらず、国家公務員の男性の育休取得率が悪いと、民間企業への理解も得られにくくなります。
取得率を公表して男性も育休を積極的に取得し、周知しようとしているのです。
男性国家公務員の育休取得率が高い理由|周囲のサポートがあるから
「国家公務員の男性職員による育児に伴う休暇・休業の取得促進に関する方針」では、国家公務員男性が育休を取得する場合に、育休取得をする職員の業務を分担したり、周囲で工夫することで育休取得しやすい環境作りをした職員が評価される体制ができています。
男性が育休を取得すると、職場の人員が一時的に減ることになりますので、それによって業務が忙しくなる可能性もあり得るのです。
男性国家公務員の育休取得率が高い理由|育休が人事で評価されるから
男性が育休を取得して一時的に会社で働かないと、キャリア形成に悪影響があるのではないかと不安になることがあります。それで育休取得を諦めた方もいらっしゃるでしょう。
実際に、育休を取得しなかった一般企業に勤める男性の理由は、次のものがあります。
- 休業取得によって、仕事がなくなったり、契約終了(解雇)の心配があったから
- 自分にしかできない仕事や担当している仕事があったから
- 昇給や昇格など、今後のキャリア形成に悪影響がありそうだと思ったから
参考:厚生労働省
一方国家公務員男性は、人事評価において育休取得するための取り組みとして、適切に反映するものとしています。
男性地方公務員の育休取得率
ここまで国家公務員男性の育休取得率について解説してきましたが、ここからは地方公務員の育休取得率についてまとめていきます。
「男性職員の育児休業等の取得促進に向けた更なる取組について 」によると、令和元年の地方公務員男性の育休取得率は8.0%です。
参考:総務省
男性国家公務員の育休取得率が99%だった国家公務員と比べると、男性地方公務員の育休取得率は、低い傾向にありますね。
【地方公務員とは】
地方公務員とは都道府県・市町村などの地方自治体で働く公務員のことで、国家公務員は中央省庁など国家機関で働く公務員を指します。
男性地方公務員の育休取得率は年々増加傾向
男性の地方公務員の育休取得率は国家公務員と比べてまだ少ないですが、年々増加傾向にはなっています。
平成28年 | 3.6% |
平成29年 | 4.4% |
平成30年 | 5.6% |
令和元年 | 8.0% |
参考:総務省
男性地方公務員の育休取得率は地域差があります
男性地方公務員の育休取得率は全体で8.0%ですが、これは地域差があります。
千葉市 | 92.3% |
福岡市 | 20.2% |
北九州市 | 19.3% |
さいたま市 | 18.2% |
新潟市 | 16.2% |
参考:総務省
地域によっても地方公務員男性の育休取得率は大きくことなります。
これは職場環境として男性が育休取得しやすいか、周囲の理解があるか、サポートがあるかなどが、背景として考えられるからかもしれませんね。
男性地方公務員が育休取得ができていない理由とは
男性地方公務員が育休取得できていない理由をまとめます。
- 男性の育休等取得について理解が乏しい職場風土がある
- 管理職の意識醸成を目的とした研修実施体制等が整備されていない
- 育児等への関わりに対する男性職員自身の意識付けが必要
- 給与が減額されるため、男性自身が育休取得に消極的
- 職場に迷惑をかけるという思いから、男性職員が育休等取得を諦めてしまう
- 育休を取得した男性職員の昇任・昇格が他の職員に比べて大きく遅れている
参考:総務省
地方公務員は国家公務員と比較して、育休取得をしにくい環境にあると言ってよいでしょう。
公務員の育休は民間企業よりもよいのか
国家公務員の育休は、子どもが3歳になるまでの期間取得が可能。つまり最大で3年の育休取得ができるのです。(参考:内閣官房内閣人事局)
民間企業の場合は、原則として子どもが1歳の誕生日を迎えるまでとされています。(延長可能です)
そのため、公務員のほうが育休を長く取得できるのです。
育休中の公務員の給与は?
民間企業の職員も公務員も育休を取得すると休業するわけですから、仕事ができなくなります。この場合、給料がどうなるのか気になりますよね。
結論から書くと、公務員の場合は育休期間中に給料はでません。これは民間企業の職員も同じです。
育休中に給料が出ないと生活に不安がでてくるため、育休手当があります。
共済から育休手当が支給されます。
67%、50%が育休手当として支給されるため、育休前のときの給料が満額支給されるわけではありません。
民間企業でも育休手当が支給されるため、これは公務員も民間企業職員も平等です。
公務員男性が育休取得をしたいときは
国が育休を取得を促進していることがわかりました。
社会のロールモデルになるためにも、男性の育休取得の理解を広めるためにも、公務員男性は積極的に育休を取得することをおすすめします。
公務員男性でパートナーが出産予定がある方は、上司に育休取得したい旨を相談しましょう。
相談する相手は直属の上司をおすすめします。
出産予定日の半年前くらいを目安に、上司に伝えるとよいでしょう。
まとめ
国家公務員男性の育休取得率は非常に高く99%で、地方公務員になると8.0%にまで下がります。
国家公務員男性の育休取得率が男性全体の育休取得率と比べて高いのは、国が男性の育休を積極的に推進しているからです。
社会全体として男性の育休取得率が増加傾向にあるため、今後はより一層男性が育休取得をしやすい環境になるでしょう。