今までのお話


社会人経験は、振り返るとたったの6年でした。ここから結婚→転勤→出産と続き、20代で3人のお母さんとなり、8年間の専業主婦期間に突入します。
と、その前に。
たった6年の社会人経験が、今の私の基盤となっているのは確かで、先に進む前に社会人期間の内面的なところを振り返っておこうと思います。
ちなみに18歳で働き始めたという内容に補足しておくと、私自身は大学に行く気満々で、高校3年の夏頃まで進学コースにいました。
しょうもないことは親に逐一報告するくせに、大きな決断は自分ひとりでする癖はこの頃からで(起業したことを親が知ったのは、起業7年目のことでした笑)。進路についても相談していなかったのです。
三者面談のとき「就職で」という話も出ていたのですが、冗談を言っているだけだと思っていました。進路相談で冗談言うわけないのに…
親から「進学は諦めてほしい」と言われたとき、普通なら凹んだり反発したりすると思うのですが、全てを察した私は「えー!」とか言いながらも就職コースに移り、普通に面接の練習やビジネスマナーの勉強とかしていました。
就職コースに仲の良い友達もいて、「こっちのコースにお引越ししてきたよ!テヘ!」みたいな軽いノリでした。
就職したらお給料がたくさんもらえて、お金持ちになるんじゃないかとドキドキしたりもしていました。
呑気すぎて、あの頃の自分が最高に可愛らしくて愛おしい。
ただ、就職した後は大変でした。
いちいち怒られるのです。(私が怒らせているだけ)
入社初日、私の教育係の人が自己紹介で「はじめまして〇〇です。お局さんと呼ばれています〜笑」と面白おかしく自己紹介をしたのですが、私は“お局さん”という苗字だと勘違いし、「お局さん!」とか言って、入社早々、周りを凍り付かせるなどしていました。
その人がマジで怖かったのです。
ただ、今思えば、18歳の世間知らずの私に自分の仕事もこなしながら教えるのは大変だっただろうなと、心底思います。
FAXひとつ送るのも大騒ぎで、接客したらコーヒーはこぼすし、そのくせ生意気で、工事部のおじさんに「電話つないでるんだから、鬱陶しそうな返事しないでください!」とか喧嘩を売りに行ったり。(結果、おっさんを怒らせてしまい、上司から死ぬほど怒られた)
請求書を送ってはいけない会社に送ってしまい、利益を相手に知られてしまうという最悪なミスまで起こし、上司と謝罪に行ったり……
ありとあらゆるミスをしました。
何かあるたびに落ち込んでトボトボと家に帰っては、母親に「もうやめたい」と嘆いていたのですが、母親は「いや、あんたが悪いやろ」とジャッジをミスることがありませんでした。その貫禄たるや、マツコ・デラックス。
翌日、上司のデスクへ行き「昨日は申し訳ございませんでした」と謝り、間違った書類を直し、お局の機嫌を取ることに全集中していました。
この頃はよくトイレで泣いていたなぁ、と思い出します。
失敗を後悔して泣くとかではなく、大学へ進学して楽しそうに笑っている友人の姿が羨ましくて。失敗ばかりで大人に頭を下げまくっている自分が情けなくて、比較しては悲しくなり、泣いていました。
ただ、先輩から言われたある言葉と行動から、いつまでもしょうもない比較をするのはやめようと思えた出来事があります。
入社して間もなくしてからのことです。
見積書や請求書は営業さんに言われたから作っていたし、送っていました。
それが仕事だと思っていたし、大した仕事ではないと思っていました。
小さな仕事だと思っているから手を抜いていたのか、請求書が相手に届いていなくて入金が期日内にされないというミスが起きました。
起こるべくして起きた気がします。これもバッチバチに怒られました。
数日後、何気なく先輩を見ていると、請求書をFAXで送った後に用紙に送信した日を書き、5分後には電話で「先ほどFAXで請求書お送りしました」と確認の電話を入れていたのです。
(相手の手に届くまで、何回も確認してるんだなぁ)と感じました。
FAXの送付案内状には、いつも気の利いた一言を入れている人でした。尊敬の眼差し!
私はそれを秒でパクる(真似する)ことにしました。
すると、仕事が楽しくなってきたのです。
誰かに言われて行っていた仕事が、受け身ではなく能動的な仕事に変わった瞬間だったと思います。
先輩に「私もあれ、請求書送った後に電話するやつ、真似してるんすよ〜」みたいなことをランチを食べながら言った時に、
「その仕事は誰のため?って思いながらやると、いろいろアイデアや気遣いが浮かんでくるでしょ〜」と嬉しそうに言われました。
天使なのかもしれない。顔も確かに綺麗で、モテモテの先輩だった。
私もモテたいと思った。(黙れ)
そこから出たアイデアが、調査報告書の改善やホームページぶっ壊し事件につながるのだから、この先輩、実はとても罪深い。(黙れ)
「その仕事は誰のため?」と日々問いかけ、先輩たちを怒らせながらも、根がポジティブという武器を片手に必死で仕事を覚え、資格を取り、振りまけるだけの愛想を振りまいた結果、最高に可愛がってもらいました。
ここで一緒に仕事をしていた先輩とは、今もFacebookで繋がっているし、昔の上司からは、ほんとにたまにLINEが届きます。
私が会社を設立した際には、「しんじられない!笑」とだけメッセージが入りました。
起業してからもたくさんの失敗を繰り返し、そのたびにリカバリーをしてきた気がします。
私が仕事をする上でとても大切にしている、サイバーエージェントの藤田晋社長の言葉に「小さなことにクヨクヨしろよ」というのがあります。
普通、「小さなことにクヨクヨしない!」という言葉が鉄板だと思うのですが、ビジネスをする上で“信頼”というのは最も大切なキーワードとなります。
信頼されない人は、ビジネスでも成功しません。
・小さな約束を破らないこと
・当たり前のことほど丁寧に慎重に行うこと
そうした積み重ねの結果、大きな仕事を任せてもらえるようになるのだと思っています。
どんな仕事でも「その先にはお客様がいて、その仕事は誰のため?」と思えば、小さな仕事なんて一つもないことに気が付きます。
若い頃、これでもか!というほどした失敗は、今となっては「あの時に失敗しといてよかった」と思えるものばかりで、私は感謝しています。
しかし、あのとき私の失敗の後始末をして回らなければいけなかった先輩たちは、この若干開き直ってるコラムを読んで「全世界の不幸があいつに(私に)降り注げばいい」と思うことでしょう。
ただ、たくさん失敗して、そのたびに許してもらい助けてもらった経験は、今の仕事の“土台”になっています。あのとき受け取った優しさや厳しさが、今の私の判断基準や、誰かのミスにも向き合える余白にもつながっている気がします。
ちなみに私が一番、ミスが多い気もしています。(信頼とは)
おしまい。

