主婦が起業するためのお金はどのくらい必要で、どこから資金を調達すればいいのでしょうか?
今回は主婦の起業に必要なお金や資金調達方法について解説します。
- 起業資金はどのくらい必要?
- 主婦におすすめする起業資金が調達できるところ
起業資金はどのくらい必要?
日本政策金融公庫が、開業にどのくらい必要なのか調査したデータは下記のとおりです。
開業費用の分布をみると、「500万円未満」の割合が43.7%と最も高く、次いで「500万~1,000万円未満」が27.3%を占めています。
「500万円未満」の割合は、調査開始以来、最も高く、開業費用の平均値は989万円と調査開始以来、最も少なくなっています。
上記のデータを見ると、こんなに資金を準備できないとがっかりしてしまうかもしれません。
平均値は989万円ですが、500万円未満で開業している人が最も多いということが読み取れますよね。
一律にいくら準備したらよいというわけではなく、起業する業種によって準備するお金が変わります。
- 在宅起業の費用
- 店舗起業の費用
- 法人化するときの費用
この3つをみていきましょう。
在宅起業の費用
在宅開業は比較的、資金を抑えて起業行うことができます。
独立開業にかかる資金としては次のものがあります。
項目 | 費用 |
名刺や印鑑などの購入費 | 3,000円~20,000円程度 |
Webサイト(ホームページ)費用 | 100,000円~(無料サイトを使ってデザインやレイアウトを自分で作れば費用はかかりませんが、有料サイトの方が起業には断然おすすめです。) |
Webサイトの管理費 | 30,000円〜(費用がかかりますがサーバー+独自ドメイン+WordPressでの運営をおすすめします。) |
スマホやパソコンなどの費用 | 150,000円〜 |
選ぶものによっても変わりますが、30万円前後の資金を考えておくとよいかもしれません。
また自宅をオフィス代わりにする場合はオフィス費用はかかりませんが、自宅を知られるのが嫌な場合はバーチャルオフィスの住所を借りる費用も必要となります。
バーチャルオフィスとは、自宅にいながら一等地の住所を借りることができるサービスです。
次に上げるものを重要視する場合、必要かもしれません。
- サービスのイメージを守る
- 安心安全を考える
レゾナンスは、住所のみ1,650円((税込)月額)で利用できて、法人登記も可能です。
店舗起業の費用
店舗起業には実店舗とネットショップがあります。
実店舗
カフェ、ヒーリングサロンなどの実店舗の起業は、設備資金から運転資金までが必要になります。
- 設備資金
(店舗物件取得費、内外装工事費、什器・備品費、仕入費用・広告宣伝費等) - 運転資金
*コロナ禍の現在は集客で密になるために実店舗運営は難しくなっているという現状もあります。
ネットショップ
項目 | 費用 |
ネットショップ費用 | ASP型は初期費用が無料のものがある |
運転資金(月額費用) | 0〜50,000円 |
デジタルカメラなどの機材 | 50,000円〜 |
スマホやパソコンなどの費用 | 150,000円〜 |
ネットショップで店舗運営するのは実店舗に比べると比較的お金はかかりません。
起業にかかるお金を抑えたい場合は、ネットショップから店舗を運営し、最初は小さく始めていくことをおすすめしています。
その理由は起業には必ずしも成功は約束されていないので、着実で堅実な方法を少しづつ試しながら成長していくほうがリスクを回避できるからです。
個人事業主から少しずつ実績を積み重ねて、利益が出てきたら法人化を考えてみましょう。
法人にするときの費用
個人事業主と法人の起業にはメリットとデメリットがあります。
個人事業主とは個人で事業を営んでいる人のことです。税務署に「開業届」を提出して事業の開始を申請すれば、個人事業主として独立したことになります。
税金も節税でき、経費として認められる範囲も広くなったり、信用があればさらに融資を受けるチャンスも増えたりするからです。
個人事業主と法人のメリットとデメリットをみていきましょう。
メリット | デメリット | |
個人事業主 |
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法人 |
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以上のメリットとデメリットを踏まえた上で、法人化するときにかかる費用は以下のとおりです。
株式会社を設立するのに、最低限必要な費用は次のとおりです。
ア 認証手数料5万円
イ 謄本手数料1枚250円大体8枚2000円くらい
ウ 印紙代4万円。ただし電子定款のときはなし
エ 設立登記に必要な登録免許税15万円か出資額の1000分の7のいずれか高い額。
オ このほか、募集設立の際には、払込保管証明書約2万5000円
カ これに加えて、代表者印の作成費用、印鑑登録証明書代がかかります。
出典:日本公証人連合会
【株式会社を設立する際にかかる費用】
支払い先 | 支払い項目 | 費用 |
公証役場 | 定款認証手数料 | 5万円 |
定款印紙代 | 4万円 | |
定款謄本代 | 約2,000円 | |
法務局 | 登録免許税 | 15万円 |
登記事項証明書代 | 1通600円 | |
印鑑証明代 | 1通450円 |
※認証手数料は2022年から変更になります。
以下の通りです。
日本経済新聞によれば2022年から会社の設立時に必要な定款を認証する手数料を引き下げる政令案を発表。手数料を資本金100万円未満の会社は3万円、100万円以上300万円未満は4万円に設定。現行は一律5万円。
出典:日本経済新聞社
自分で法人の申請を行うのが難しい場合は、司法書士や税理士にお願いしましょう。その場合も費用はかかりますが、スピーディに問題なく行うことができます。
自分で調べて手続きするには法的な内容が複雑であったり、間違いがあり何度も提出し直し時間がかかるケースもあります。
主婦におすすめする起業資金が調達できるところ
主婦におすすめする起業資金を調達できる場として主に、
- 公的融資
- 民間融資
- クラウドファンディング
があります。
一つ一つみていきましょう。
公的融資
起業資金を融資してもらえるのは主に、公的融資であれば、
- 補助金(起業するときにもらえるお金)
- 助成金(起業する際に従業員を雇用するときにもらえるお金)
- 融資(借りるお金)
この3つがあります。
ここでは主婦が起業する時に融資してもらいやすい制度をいくつかご紹介しますね。
女性、若者/シニア起業家支援資金
「女性、若者/シニア起業家支援資金」は日本政策金融公庫が行う事業で、低い金利で融資を受けることができます。
この制度は、
- 国民生活事業:新たに事業を開始する、または開始した後に必要な資金
- 中小企業事業:運転資金および長期設備資金
と、2つに分かれ融資限度額などの条件が異なります。
国民生活事業 | 中小企業事業 | |
対象 | 女性または35歳未満か55歳以上の方であって、 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 | |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) | 直接貸付 7億2千万円(うち運転資金2億5千万円) 代理貸付 1億2千万円 |
返済期間・設備資金 | 20年以内<うち据置期間2年以内> 7年以内<うち据置期間2年以内> |
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返済期間・運転資金 |
出典:日本政策金融公庫
新創業融資制度
日本政策金融公庫では、新たに事業を始める方や事業を開始して間もない方に無担保・無保証人でご利用いただける「新創業融資制度」があります。
対象 | 次のすべての要件に該当する方
|
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) |
返済期間 | 各融資制度に定めるご返済期間以内 |
担保・保証人 | 原則不要 |
出典:日本政策金融公庫
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金(一般型)は、働き方改革や賃上げなど、小規模事業者が解決すべき課題に取り組むときの費用を支援してくれる補助金です。
対象事業者は以下のうような方です。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く):常時使用する従業員数5人以下
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員数20人以下
- 製造業・その他:常時使用する従業員数20人以下
補助率は対象経費の2/3。上限額は1事業者あたり最大50万円です。
出典:日本商工会議所
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者が、ITツール導入に活用できる補助金です。
A類型・B類型という通常枠と、C類型・D類型という低感染リスク型ビジネス枠が用意されています。
補助金額 | 30万〜250万 |
補助率 | 1/2 |
類型別補助金額と補助率 |
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主婦が起業資金を融資してもらえそうな公的機関の融資制度を、いくつかご紹介しました。
この他にも、お住まいの地域によっての融資制度もあります。
助成金や補助金を探す便利なサイトもありますのでぜひこちらの方もご覧くださいね。
民間融資
銀行での借入、信販会社や消費者金融での借入ができる民間融資もあります。
銀行や信用金庫などの民間企業が行う融資を、民間融資と言います。
銀行や信用金庫は全国各地にたくさんの支店があるので、気軽に相談をすることが可能です。
どうしても早く資金が必要な場合は、銀行のカードローンや信販会社や消費者金融での借入を利用することもできます。
主婦の起業資金融資としては気軽に借りやすい分、金利も高いので民間融資はあまりおすすめしていません。
できるだけリスクのない資金融資を利用することをおすすめします!
クラウドファンディング
最近では、主婦が起業するための資金を調達する方法として「クラウドファンディングを活用する」という方法もあります。
クラウドファンディングはアイデアを持っている起業家が、そのアイデアを通して、不特定多数の支援者から資金を集める方法です。
クラウドファウンディングには、主な4種類あります。
- 購入型
- 融資型
- 寄付型
- 投資型「ファンド投資型」と「株式投資型」
購入型 | プロジェクト支援者が「目標期限」と「目標額」を発表し、支援者を募ります。支援者へのリターンとしては商品やサービスなど、金銭以外のリターンを設定します。 |
融資型 | 資金を求める企業が多数の投資家から資金調達する方法です。 投資する側には金利が支払われます。 |
寄付型 | 主に被災地支援や難民支援など、社会貢献性の高いプロジェクトを立ち上げる場合に募ります。 |
投資型 | 【ファンド投資型】 起案者が立ち上げるビジネスに対して出資を募ります。支援者はビジネスの売り上げに応じて分配金を受け取りますので、売り上げに応じて収益が増減するリスクがあります。 【株式投資型】 支援者が企業の株式をリターンとして受け取ります |
融資型クラウドファンディングは、複数の支援者から小口の資金を集めて、大口化して借り手企業に融資する形のクラウドファンディングです。支援者は金利を受け取ることでリターンを得ることができます。
株式投資型クラウドファンディングの場合、起案者は個人ではなく株式会社となります。
支援者は投資をする代わりに、起案企業の未公開株式を受け取ることができます。
購入型クラウドファンディングでは、支援者はリターンとして支援金額に応じた商品やサービスを受け取ることができます。
寄付型クラウドファンディングでは集まった資金が全額寄付になるので、支援者は基本的にリターンはありません。
主に起業でクラウドファンディングができるサイトをご紹介いたしますね。
サイト名 | 最小投資額 | 振込手数料 | 手数料 |
Funds(ファンズ) | 1円(1円単位) | 自己負担 | 無料 |
CAMPFIRE Owners(キャンプファイヤーオーナーズ) | 1万円(1万円単位) | 自己負担 | 無料(月1回まで) |
readyfor(レディフォー) | 5万円 | 自己負担 | シンプルプラン 手数料7%、別途決済手数料5%(12%+税) |
※投資家登録・口座開設料は無料
クラウドファンディングを利用して資金を集めて起業することはメリットだけではありません。
デメリットもあり、
- 資金調達できるとは限らない
- 時間がかかる
- 支援者に対するリターンや返金などの対応がある
- 想定外の批判的コメントやメッセージが届くこともある
ということも考えておく必要があります。
まとめ 主婦の起業で成功するために
主婦の起業でかかるお金と資金調達方法について解説してきました。
- 在宅起業の費用
- 店舗起業の費用
- 法人化する時にかかる費用
起業する形態によって費用は変わってきます。
起業するときに資金を調達する方法として、
- 公的融資
- 民間融資
- クラウドファンディング
などについても解説いたしました。
女性が起業するケースが多くなったことで、女性向けの起業に対する補助金・助成金・融資が制度として設けられ、広く活用されています。
主婦の起業もアイデア次第では融資が可能になるケースもあります。
まずはご自分の起業にどのくらい必要なのか、そのためにどこから資金調達するのがベストなのかを調べることから始めてみてくださいね!
起業の成功をお祈りしています。
おっしまーい^^