キャリア教育について

【小学校のキャリア教育】小学生の子どもを持つ親が知っておきたいこと

まさお
まさお
現代の小学校教育は、私たち親の小学校時代と比べると大きく変化しています。(まさおは幼稚園児)
  • 1年生の教科書が、幼児教育に近い内容からはじまっている
  • 学年の縦割り行事が多い
  • 道徳や総合学習の内容が濃い
  • 職業調べやまち調べなど、地域社会と密着した学習内容がある

私が小学校のころには、道徳の教科書も、生活という科目の授業もありませんでした。さらには、縦割り行事の機会も、こんなに多くは無かった印象があります。

 

実のところ、これは「キャリア教育」の推進に伴い、大きく変化した部分です。最近では、子どもたちの生きる力を伸ばすため、学校教育にキャリア教育の視点が積極的に取り入れられています。

 

とはいえ、そもそも「キャリア教育」って何でしょう。今回は、小学校のキャリア教育はどのように進められているのかを紹介します。

  • キャリア教育とは?
  • 小学校のキャリア教育、その目的は?
  • 小学校低学年のキャリア教育
  • 小学校中学年のキャリア教育
  • 小学校高学年のキャリア教育
  • 小学校だけで終わらない!キャリア教育は、つなげていくことが重要

キャリア教育とは?

キャリアというと、つい「仕事」だとか「職歴」といったイメージを持ちがちなのが、私たち親世代です。特にまだ幼児っぽさが残る小学校1年生の親としては、「キャリア教育をすべきだ!」と言われても

高倉さん
高倉さん
早くない?とりあえず寝て落ち着こ?

と感じてしまう方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、ここでいうキャリア教育とは、「自分らしい生き方ができる力を育てるための積み重ね」の教育です。社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしく生きていくために必要な能力を育てる学びの機会といえるでしょう。

 

文部科学省では、キャリア教育の必要性を下記のように述べています。

今,子どもたちが「生きる力」を身に付け,社会の激しい変化に流されることなく,それぞれが直面するであろう様々な課題に柔軟かつたくましく対応し,社会人として自立していくことができるようにする教育が強く求められている。
(引用元:文部科学省|キャリアとは何か

簡単にいうと、

エリザベス
エリザベス
子ども自身の将来のために、社会人としての必要な能力をキャリア教育で育てる必要があるよ!

ということです。

 

経済の国際化やさまざまな技術の発達より、社会が大きく変化してきました。社会人の能力として、自主性や社会性、コミュニケーション能力、課題を解決する力、自身の将来へのビジョンなど、成績以外の部分も求められるようになってきています。

 

時代の変化に取り残されることなく、子ども自らが将来をつかみ取る能力を伸ばすために、小学校、中学校、高等学校と経て、大学に至るまでの教育機関で、キャリア教育の推進が求められているわけですね。

小学校のキャリア教育、その目的は?

さて、ここからは小学校のキャリア教育にフォーカスしてみましょう。

 

小学校のキャリア教育は、義務教育の中で積み重ねていくキャリア教育の土台ともいえる時期です。「進路の探索・選択にかかる基盤形成の時期」とされ、下記4つの目標を持ってキャリア教育が進められます。

自己及び他者への積極的関心の形成・発展 自分や友だちのよさを見つけて、お互いに認め合い、協力し合う。
身のまわりの仕事や環境への関心・意欲の向上 「職業調べ」で両親や身近な人の仕事を調査し、働くことに興味を持つ。
夢や希望、憧れる自己イメージの獲得 憧れとする職業をもち,今しなければならないことを考える。
勤労を重んじ目標に向かって努力する態度の形 働くことの大切さを知り、実現を目指して努力しようとする。

上記の内容から分かるように、小学校におけるキャリア教育は、進路の決定を迫るものではありません。小学校6年間を通して、広い視野から社会や職業をとらえる力を育てるための目標となっており、自らの将来を考えるためのきっかけをつくる教育といえるでしょう。

 

もちろん、上記のような目標は、入学したばかりの1年生から課せられるものでもありません。小学校では低学年・中学年・高学年と成長の幅が大きいため、キャリア教育おいても3段階の発達に合わせて、じっくりと進められています。


(出典:国立教育政策研究所|「自分に気付き、未来を築くキャリア教育」

低学年・中学年・高学年それぞれのキャリア教育について、詳しく解説していきましょう。

小学校低学年のキャリア教育

入学したばかりのころは、通学だけでハラハラドキドキなのが小学校低学年の頃ですね。キャリア教育でも、まずは学校生活に慣れるところからはじまります。

 

小学校低学年では、以下のことを大切にしてキャリア教育が行われます。

「好きなこといっぱい できることいっぱい 学校って楽しいな」
低学年では,自分の好きなこと,得意なこと,できることを増やし,様々な活動への興味・関心を高めながら意欲と自信を持って活動できるようにすることが大切です。
(引用元:文部科学省|小学校キャリア教育の手引き(改訂版)

具体的には、

低学年のキャリア発達課題

  1. 小学校生活に適応する。
  2. 身の回りの事象への関心を高める。
  3. 自分の好きなことを見つけて、のびのびと活動する。

(参考:文部科学省|小学校キャリア教育の手引き(改訂版)

といった課題を持って、小学校生活への不安をなくし、いきいきと学校生活を送れるように指導が進められています。

 

新1年生のお子さんを持つ親御さんは、昔と大きく異なる教科書の内容に驚きませんでしたか?道徳や生活の教科書があり、その内容についても幼児教育に近いところからはじまっています。これも、はじめて体験する学習活動や学校生活への不安を取り除くという、キャリア教育の視点が取り入れられているといえるでしょう。

 

学校生活に慣れてきたら、友達や身の回りの人々との関わりを深め、自分自身の成長ともに自信を深められるように指導が進んでいきます。

小学校中学年のキャリア教育

小学校生活に慣れてきた中学年のキャリア教育は、小学校におけるキャリア教育の目標に一歩近づいた内容になります。

 

小学校中学年では、以下のことを大切にしてキャリア教育が行われます。

「自分と 友だちと みんないっしょに」
友達のよさを認め,協力して活動する中で,自分の持ち味や役割が自覚できるようにすることが大切です。

(引用元:文部科学省|小学校キャリア教育の手引き(改訂版)

具体的には、

中学年のキャリア発達課題

  1. 友だちと協力して活動する中でかかわりを深める。
  2. 自分の持ち味を発揮し、役割を自覚する。

(参考:文部科学省|小学校キャリア教育の手引き(改訂版)

といった課題を持って、友達づくりや集団の結束づくりを大事に学校生活を過ごせるよう指導が進められています。

 

当番や係活動などを通じて、友だちととの関わりを深め、どうすればより良い活動ができるかクラスで話し合う機会が持たれる時期です。

 

各教科の学習にもキャリア教育の視点が取り入れられます。例えば、水道から出てくる水はどこから来たのかを学習し、社会科見学で浄水場の見学に行ってグループ発表を行うというのも、キャリア教育の視点が取り入れられているといえるでしょう。

 

こういった活動を通じて、学校での学習内容が日常生活や将来の生き方と関連していることに気付かせるような取り組みも行われます。

他にも、キャリア教育の視点が取り入れられた行事として「1/2成人式」も挙げられますね。

自分の10年間の成長を振り返る機会にもなり、「自分が20歳の大人になったら」というイメージを育てる機会にもなるでしょう。

小学校高学年のキャリア教育

小学校生活の集大成ともいえる、高学年。キャリア教育においても、小学校の目標を達成すべく内容になっています。

「挑戦する やりぬく 夢・希望を広げる」
高学年では,苦手なことや初めて挑戦することに失敗を恐れず取り組み,そのことが集団の中で役立つ喜びや自分への自信につながるようにすることが大切です。
(引用元:文部科学省|小学校キャリア教育の手引き(改訂版)

具体的には、

高学年のキャリア発達課題

  1. 自分の役割や責任を果たし、役立つ喜びを体得する。
  2. 集団の中で自己を生かす。
  3. 社会と自己のかかわりから、自らの夢や希望をふくらませる。

(参考:文部科学省|小学校キャリア教育の手引き(改訂版)

といった課題を持ち自分たちでできることに責任をもって取り組み、自主性と社会性を育てるよう指導が進められています。

 

高学年のキャリア教育では、小学校高学年としての責任感を持ち、子ども自身が役割を果たそうと頑張る場面が多くみられます。

 

例えば、学年縦割りでの行事では、自分よりも小さな学年のリーダーシップを取る機会もあるでしょう。集団登校を実施している小学校では、登校班長として新1年生の家を訪ね、「4月から一緒に小学校へ行こうね」と声かけを行う取り組みも行われています。

 

また、「中学校調べ」や「中学生へのインタビュー」などの、中学校への心の準備を進める内容もキャリア教育に含まれます。小学校と中学校が連携することで、中学校生活への不安を取り除き、自分の将来への期待をふくらませる良い機会になることでしょう。

小学校だけで終わらない!キャリア教育は、つなげていくことが重要

キャリア教育は「自分らしい生き方ができる力を育てるための積み重ね」であり、小学校だけではなくその後も教育をつなげていくことが大切です。

 

中学校では「進路指導」という大きな岐路も待ち受けています。

 

小学校のキャリア教育での学びが生かされる機会が、すぐそこに待っているのです。さらにその先の高等学校や大学では、もっと自分の人生に関わる選択をするときが来るでしょう。

 

2020年4月には、小学校・中学校・高等学校と12年間をつなげるキャリアパスポートがスタートしました。

 

キャリアパスポートとは、学校を超えて記録を繰り返し振り返れるようにするポートフォリオともいえる存在で、自分の将来の見通しを立てられるように考えられています。

 

小学校でのキャリア教育の学びは、小学校だけで終わりません。自分らしい生き方ができる力を育てるために、積み重ねつなげていく取り組みがはじまっています。

 

もちろん、学校と家庭の間でも、キャリア教育をつなげるようにしたいですね。

親の働く姿を見せたり、家庭でのお手伝いをしてもらったり、さまざまな方面からキャリア教育を積み重ねていきましょう。

まとめ:【小学校のキャリア教育】小学生の子どもを持つ親が知っておきたいこと

要点まとめ
  • キャリア教育とは?
  • 小学校のキャリア教育、その目的は?
  • 小学校低学年のキャリア教育
  • 小学校中学年のキャリア教育
  • 小学校高学年のキャリア教育
  • 小学校だけで終わらない!キャリア教育は、つなげていくことが重要

今回は、小学校におけるキャリア教育について紹介しました。

 

キャリア教育の土台作りである、6年間もの長きにわたる小学校のキャリア教育。まずは学校に慣れるところからはじまった小学校生活も、卒業時には将来の夢や希望の実現を目指して努力するわが子の姿は、親から見ても頼もしく見えることでしょう。

 

お家の中ではまだまだ幼いわが子ではありますが、親も小学校のキャリア教育を知り、学校と家庭のキャリア教育の連携を進めてみてはいかがでしょうか。

ABOUT ME
のりこ
(株)みらいきって代表|メディア編集長|文章を書くことと、コンテンツ制作が大好き|キャリアコンサルタント|3姉妹の母|大阪府民| お腹が減ると、ちょっと不機嫌になります!鮭おにぎりが好き