2018年の育児休暇の取得率は女性で80%を超えています。
1999年では56.4%、2002年では64.0だったため、この20年ほどで育休取得率が大きく増加したことになります。
参照:厚生労働省「雇用均等基本調査」、「育児休暇取得率の推移」
育休中は会社からの給料がなくなり、一時的に世帯収入は減る傾向にあります。
では、育休中の住民税や社会保険料の支払いはどうなるのでしょうか。
今回は、育休中の住民税と社会保険料の支払いについて解説しています。
育休中に住民税が高いと感じるときに、減免措置はしてもらえるのか、社会保険料免除の申請や注意点はあるのか、など知りたい方はぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
- 育休中の住民税の支払い方法
- 育休中の住民税の減免措置
- 育休中の社会保険料について
- 育休中の社会保険料の免除申請
【育休中】住民税はどうなるの?
育休中の住民税の支払いについて解説します。
結論から言うと、育休中であっても、住民税の支払いは必要です。
住民税の金額は、前年度の1月1日から12月31日までの1年間に得た所得で決まります。支払は本年の6月から翌年の5月です。
例えば2021年3月から育休を取得したとしましょう。
確かに2021年3月からは休業となり、収入が減るわけですが、前年度の2020年1月1日から12月31日は仕事をしていて所得があった場合は、住民税の支払いは必要なのです。
育休中なのに住民税を払うのは損か
そう感じる方もいらっしゃるでしょう。
育休中なのに住民税を払うなんて、損ではないか、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
育休中に住民税を払うのは不公平ではないか、損なのではないか、検証してみましょう。
すでにご紹介したように住民税は前年度(1月1日から12月31日)の収入で決まります。
育休中で給与による収入が減れば、その分だけ翌年の住民税が安くなるのです。
(収入額と住民税は比例します)
育休中に住民税を支払っても、育休中で収入が減った分の住民税(翌年に払う分)が安くなるため、損ではありません。
【育休中】住民税の支払い方
会社で働いていると、一般的に住民税は給与から毎月引かれます。会社がみなさんの代わりに市町村へ納税していますので、
という方も少なくはないでしょう。
会社員の場合は、会社が納税者の代わりに住民税を納税する特別徴収という形をとっています。
育休中の住民税の支払い方は次の3パターンがあります。
- 普通徴収
- 育休前の給料から天引き
- 育休中に会社が立て替える
育休中の住民税の支払い方を詳しく見てみましょう。
【育休中】住民税の支払い方|普通徴収
普通徴収とは、納税者が自分自身で市町村へ納税する方法です。
会社で働いているときは特別徴収でしたが、給与担当などに希望を伝えて普通徴収に切り替えてもらうことができます。
コンビニ払い、口座振替などで支払うことが可能です。ネット通販でのコンビニ支払のような感覚で簡単に払えますよ。
住民税の支払いは一括、分割から選べ、一括でも分割でも納税額は変わりません。ライフスタイルに合った支払い方を選びましょう。
普通徴収にすると納付期限があります。期限を過ぎると滞納と見なされる可能性もあり注意が必要です。
【育休中】住民税の支払い方|育休前に給与から天引き
育休中の住民税の支払い方の1つとして給与からの天引きという方法あります。
育休中だと給与がなくなるため、育休前の給与からの天引きするのです。
育休前にまとめて住民税を納税するので、普通徴収のように納付期限を気にする必要はありません。
【育休中】住民税の支払い方|会社の立て替え
育休中に会社が住民税を立て替える場合があります。
あくまでこれは立て替えであり、会社が負担してそのまま返さなくていいわけではありません。
会社での立て替えをしていない企業もあるため、事前に確認をしておきましょう。
住民税は育休中に会社へ毎月支払うか、育休明けに住民税分を一括で返金するなどをします。
【育休中】住民税が高い場合は減免措置できる場合があります
育休中には、住民税の支払いが必要だと冒頭でお伝えしました。
育休中の住民税は半額免除または全額免除といった減免措置が取られる可能性があります。
この減免措置は市町村によって異なるため、
Aさんは育休中に住民税の減免措置をしてもらえたのに、Bさんは減免措置をしてもらえなかった!
ということもあります。
育休中の所得が、前年度より半分以下に減った方に対して住民税の減免措置がとられることが多いです。
【育休中】減免措置対象外の場合は、徴収猶予があります
しかし、残念ながら育休中に住民税の減免措置が受けられない方もたくさんいらっしゃいます。
そこで知っておいて欲しいのは、育休中で住民税の支払いが「高い」「厳しい」という方は、徴収猶予が受けられる可能性があることです。
徴収猶予とは、住民税の納付期限を1年まで遅らせることができる制度です。
育休中で今すぐ住民税は払えない方、仕事復帰してから住民税を払いたい方には徴収猶予を受けることをおすすめします。
徴収猶予は、住民税を払わなければ1年待ってくれるものではなく、お住まいの役所で住民税の徴収猶予の手続きが必要ですので、相談てみてくださいね。
【育休中】社会保険料は支払う必要がある?
さて、ここからは育休中の社会保険料の支払いについて見てみましょう。
育休中は収入が一時的に減りますが、社会保険料の支払いはどうなのでしょうか。結論から言うと、育休中は社会保険の支払が免除されます。詳しく見てみましょう。
育休中は社会保険料が免除されます
育休中の社会保険料は免除されます。
基本的に育児休業の開始月から終了日の翌日の前月までが社会保険料免除の対象期間です。
ちなみに産休中も社会保険料免除となります。
そもそも社会保険料とはなにか
そもそも社会保険料とはなにか簡単に解説します。
一定の条件を満たす方は、基本的に社会保険の加入と保険料の支払いが課されています。
基本的に社会保険料は支払わなければいけないものですが、例外として育休中は支払いが免除されるとお考えください。
【育休中】社会保険料の免除|保険証は使えます
社会保険料が免除される育休中。
社会保険料の支払い免除期間であっても被保険者としての資格があります。つまり、保険証は使えるということですので、ご安心ください。
また、将来に受け取る年金額への影響もありません。免除の期間は保険料を支払った期間として扱います。
【育休中】男性でも社会保険料免除はあります
近年男性の育休取得も増えてきています。
条件を満たせば男性でも社会保険料免除が適用されます。
ただし、短期間の育休では社会保険料の免除がされないことがあるため、ご注意ください。
くわしくは後述します。
【育休中】社会保険料を免除申請の方法
育休中の社会保険料免除の申請方法をご紹介します。
年金事務所への申請が必要でこちらは会社を通して行うため、まず会社の総務部などに社会保険料免除申請の相談をしてください。
会社から「育児休業取得者申出書」を年金事務所に届け出をします。
産休の場合は会社から「産前産後休業取得者申出書」の提出が必要になりますので、該当する方はどちらも申請することをおすすめします。
また、予定より早く育休が終わったときには「健康保険・厚生年金保険育児休業等取得者終了届」を提出する必要があります。
【育休中】社会保険料免除申請の注意点
育休中の社会保険料免除申請の注意点をまとめます。
【育休中】社会保険料免除申請の注意点|仕事を続ける意思を伝える
育休中の社会保険料免除の申請をする際は、会社が申請手続きを行います。
その際に、育休明けに仕事を続ける意思があることをしっかりと伝えましょう。
【育休中】社会保険料免除申請の注意点|短期間では免除されない
育休を短期間取得する場合は、社会保険料が免除されない可能性があります。
社会保険料免除期間は、育休開始月から終了予定日の翌日の月の前月となります。
例1
2021年8月20日から8月30日の期間だけ育児休業を取得したとしましょう。
この場合、育休開始月は8月、育休終了日の翌日の前月は7月となります。
この場合は社会保険料の免除対象となりません。ご注意ください。
例2
2021年8月25日から9月3日まで育休を取得したとします。
この場合は、育休開始月は8月、育休終了日の翌日の前月は8月となり、8月のみ社会保険料が免除されます。
短期間でも育児休暇で月をまたぐかどうかによって社会保険料免除がされないこともありますのでご注意ください。
まとめ:育休中の住民税・社会保険料|支払いは必要?減免されるのはどんなとき?
育休中でも住民税の支払いは必要ですが、半額免除、全額免除など減免措置が受けられる場合があります。
住民税の支払いには、
- 自分で納付する普通徴収
- 育休前に給与天引きしてもらう
- 会社に立て替えてもらい毎月または後から会社へ支払う
などの方法があります。
育休中の社会保険料は男女ともに基本的に免除になりますが、短期間の育休の場合は免除にならないことがあります。
免除を受けるには申請書が必要になるため、必ず会社に相談しましょう。
おっしまーい^^