セルフ・キャリアドックとは、厚生労働省がはじめた制度で、従業員のやる気を引き出したり、業務効率を上げらることを目的としています。
ただ、制度を導入するメリットや内容がわからない、どのような流れで導入すればよいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
そこでこの記事では、以下のことについて解説します。
- セルフ・キャリアドックの概要
- 導入するメリット
- 導入の流れ
この記事を読めば、セルフ・キャリアドックを導入するイメージもわかるようになります。
ぜひ参考にしてみてくださいね!
セルフ・キャリアドックとは
セルフ・キャリアドックとは、企業が、キャリアコンサルティングとの面談や研修を組み合わせて、従業員の支援を実施する制度です。
セルフ・キャリアドックは、従業員の育成を目的としており、生産性向上やモチベーションんアップの狙いがあります。
なお、厚生労働省の平成30年度『能力開発基本調査』によると、正社員に対してキャリアコンサルティングの仕組みを導入している企業は44%と半分にも満たないのが現状です。
セルフ・キャリアドックを導入する3つのメリット
企業は、セルフ・キャリアドックを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか?
- 新規採用者の定着率アップ
- 職場復帰しやすい環境の構築
- 従業員の生産性やモチベーションアップにつながる
具体的に解説しますね!
1.若手社員の定着率アップ
なぜなら、キャリアコンサルタントとの面談や研修では、仕事への向き合い方や意欲のアップを図れるからです。特に、若手社員は、将来性ややりがいを感じなくなると、退職する傾向があります。
以下の表は、エン転職が1万人に対して実施したアンケートでもこの傾向は顕著です。
退職を考えはじめたきっかけ | 20代の割合 |
---|---|
やりがい・達成感を感じない | 43% |
企業の将来性に疑問を感じた | 34% |
評価・人事制度に不満があった | 23% |
業界・企業の将来性が不安だった | 18% |
キャリアコンサルタントは、キャリアパスについてアドバイスできるので、将来的に管理職ややりたい業務がある若手社員のモチベーション向上が期待できます。
- 必要な経験
- 年数
- ステップアップ方法
その結果、離職率が低下しやすくなるので、新たな人材を採用するコストが減るでしょう。
2.職場復帰しやすい環境の構築
仕事と家庭の両立するにあたり、障壁になる課題を取り除いたり、職場復帰までのプランを作成できるからです。育児や介護などから復帰しやすくなれば、従業員も安心して働けるので、離職率も下がる可能性があります。
3.中堅社員の生産性やモチベーションアップにつながる
近年では、管理職に昇進できない中堅社員が増加しているため、給料アップや昇格以外の方法でどのようにやる気を出してもらうかが課題でした。
しかし、セルフ・キャリアドックでは、お互いに従業員の強みを理解し、どのように仕事に活かせば良いのかわかるようになります。また、退職後のセカンドキャリアについて考えるきっかけになるので、安心して働けるようになるでしょう。
このように、セルフ・キャリアドックは、導入する企業と従業員の双方にメリットのある制度です。
キャリアドックを導入する費用は数十万円になる可能性も
キャリアドックを導入する場合、キャリアコンサルタントに研修や面談を依頼します。
面談の場合 | 一人あたり1時間6,000円〜20,000円 |
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研修の場合 | 数時間で20万円〜200万円以上 |
面談の費用は、従業員一人あたり1時間6,000円〜2万円くらいが相場です。
一定の人数がまとめて受ける場合は、一人あたりの費用が大幅に安くなりますが、それでも数十万円以上かかります。また、研修も行う場合は、
また、面談だけでなく研修をする場合は、受講者数や研修内容により費用が変わります。おおむね1回の研修で40万円〜200万円以上かかるでしょう。
セルフ・キャリアドックを進める流れを解説!
セルフ・キャリアドックを進める際、どのように導入すれば良いのか悩むのではないでしょうか?
そこで、導入する際の流れについて解説します。
- 実施規定を就業規則や労働協約に設ける
- 労働局に必要書類を提出
- 労働局から認定
- 制度の導入を行う
- キャリア研修を行う
- キャリアコンサルタントが従業員と面談をする
- 再度研修を行う(フォローアップ)
順番に見ていきましょう!
1.実施規定を就業規則や労働協約に設ける
まずは、セルフ・キャリアドックの実施を従業員に周知させるために、実施規定を就業規則や労働協約に設けてください。
また、セルフ・キャリアドック実施計画書も記入します。
2.労働局に必要書類を提出
次に、セルフ・キャリアドック制度を盛り込んだ制度導入と適用計画書を労働局に提出しましょう。
3.労働局から認定
提出した制度導入と適用計画書が労働局から認定されます。ここまでが公的な手続きです。
4.制度の導入を行う
続いて、就業規則や労働協約とセルフ・キャリアドック実施計画書の内容を従業員に周知させます。
5.キャリア研修を行う
続いて、キャリア研修を行います。
キャリア研修の目的は、自分の将来の目標やそのためにどのような行動をするかを決めること。
これまでの経験や経歴を振り返り、今後の目標などを決めます。なお、研修を受ける際には、なぜセルフ・キャリアドックを受けているのかの意識付けが必要です。
意識付けが不十分なままで研修を受けると、会社から研修の参加を強制されているだけなので、成果が現れません。
中小企業のコンサルタントをしている経営者の知人も言っていましたが、意識付けができていない会社は、やる気がない受講者が参加する傾向が高いそうです。
6.従業員とキャリアコンサルタントで面談を行う
そして、キャリアコンサルタントと1対1で面談を行います。実施時期は自由ですが、基本的には年度ごとや半期ごとなど決めておきましょう。
キャリアコンサルタントと以下のような作業を行い、今後のキャリアや行動計画を立てます。
- これまでの経歴や業務の確認
- ジョブカードの作成
- 行動計画の実施
- 目標の再設定
ジョブカードとは?
厚生労働省が発行した職業能力を証明するもので、これまでの経験や経歴、資格や免許を記載したカード。
ジョブ・カードを使えば、過去の経歴を振り返ったり、将来の計画を立てる際にも役立てることができます。
7.再度研修を行う(フォローアップ)
研修と面談を受けただけでは、セルフ・キャリアドックを導入した成果がわかりません。
キャリアコンサルタントは、従業員の記入したジョブカードにコメントを入れて返却してくれます。その内容をもとに従業員に行動を促します。
また、キャリアコンサルタントだけでなく、会社や上司も自ら従業員のフォローを行いましょう。たとえば、面談で立てた行動の進捗を報告してもらう、従業員に悩みや課題が出た際に相談に乗って解決策を一緒に考えます。
そうすることで、従業員も本気で取り組みやすくなり、セルフ・キャリアドックを成功に導ける確率がアップします。
従業員へアンケートを行い、意識の変化や気づきがあったかなどの確認も行いましょう。
まとめ:セルフ・キャリアドックを行う際は導入支援を行っているコンサルタントに相談しよう!
セルフ・キャリアドックは大手企業を中心に導入事例が増えています。
厚生労働省はセルフ・キャリアドックの導入支援を行う拠点を全国5箇所に設置しているので、悩んでいる場合は相談してみても良いかもしれません。
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- 福岡
導入のための費用はかかりますが、従業員が定着し、業務の生産性がアップするので、支払った費用以上の効果が期待できますよ。